【飲み屋のツケには時効がある!】

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行きつけの店で一杯やる男性

お酒を飲む人には、

毎晩同じ店で飲んでいる・・・
長年通っている飲み屋がある・・・

という人は少なくないでしょう。
そして、そういった場合には、毎回の飲食代金をツケているケースもあると思います。

もちろん、法的にも道義的にも、いまあるツケは定期的に(不定期でも?)きれいに清算しなければなりません。
また、そうしなければ、今後その店を利用し続けることができなくなってしまうでしょう。
でも、失職その他急激な生活環境の変化によって、ツケが払えないというケースも無きにしも非ずでは?

実は、飲み屋の未払い代金(ツケ)には時効があります。
これは、民法で定められた消滅時効というもの。

そして、飲食店の代金に対する時効期間は1年です。
つまり、ツケで飲み食いした代金は、1年経てば時効によってチャラにすることができるんです。

注目!!

2017(平成29)年5月26日、「民法の一部を改正する法律」が参議院で可決・成立し、同年6月2日に公布されたため、改正民法施行後は、飲み屋のツケの時効期間が5年に変更されます

改正法の施行日は、原則として、公布日から起算して3年を超えない範囲内における政令で定める日とされているので、改正民法の施行は2020年1月1日または4月1日と予想されています。

(2017年6月追記)

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【いろいろな支払いの時効】

実は、現行の民法では職業別に短期消滅時効が定められています。
それらの中から一部を、時効期間別に挙げると下記の通りです。

・ 3年の短期消滅時効
第170条 次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権第171条 弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。・ 2年の短期消滅時効
第172条 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しないときは、消滅する。
2 前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は消滅する。第173条 次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権・ 1年の短期消滅時効
第174条 次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
一 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三 運送賃に係る債権
四 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五 動産の損料に係る債権

上記については、それぞれ法律の文章をそのまま記載したので解りにくいかもしれませんが、文中の「債権」とはつまり貸しているお金のこと
要するに、一定期間経過すると、貸金は時効になると、職業別に定められているのです。

ちなみに、飲み屋や定食屋のツケは上記第174条の四に当たるので、1年で時効が成立します。

時効の起算日に注意

勘違いしてはいけないポイントとして、時効の起算日があります。
起算日とはつまり「いつから1年か?」ということ。

時効までカウントする日めくり

仮に、飲み屋のツケを毎月末に支払うという契約が成立していたとしたら、最後に支払った月の翌月末から1年後が時効期間ですが、一般的にはツケの支払い日を約束していないケースが多いでしょう。
そういった場合には、支払いが滞っているツケの日から数えて1年後に時効期間を迎えることになります。

複数ツケがあっても、あくまでも1年間経過したものだけが時効対象となりますので、全ての債務をチャラにするには、最後のツケから1年経過することが必要です。

【短期消滅時効とは】

ここでポイントとなるのが、前項に挙げた時効はすべて、短期の消滅時効であるということです。

「時効」と聞くと、よく刑事ドラマなどで時計が午前0時を指した段階で成立するシーンを思い出すかもしれませんが、あれは取得時効といって定められた期間が経過すれば自動的に成立する時効です。

一方、消滅時効はちょっと違います。
消滅時効というのは、時効の利益を受ける人(債務者)が、時効であることを主張すること(時効の援用)によって完成します。
なので、単に時効期間が経過しただけでは、支払い義務債権は消滅しません。

早い話が、時効期間が過ぎた後でも債権者(貸し手)は債務者(借り手)に対して、請求したり裁判や支払督促を行うことができるということ。
もちろん、その時点で債務者が時効を援用すれば、債権を消滅させることができます。
時効の援用とは、債務者から債権者に対して、「この借金は時効である」と主張すること。

逆に、債務者が時効の援用をせずに返済を行ってもOK。
ただし、時効期間が経過した後でも、債務者が債務を承認、つまり借金があることを認めた場合には、仮に時効の完成を知らなかったとしても、もはや時効の援用はできなくなります。

時効の援用は慎重に

消滅時効は時効の援用によって完成する、ということはお伝えしましたが、実は時効の援用は諸刃の剣とも言えます。
なぜなら、債務者が時効の援用するということは、債権者にとっては阻止したいこと。
そこでもし、時効期間の計算や援用方法にちょっとでも間違いがあれば、それは債権者側に手の内をバラしてしまうことにもなりかねないのです。

前述した通り、時効が完成する前に債務承認してしまえば全ては水の泡!
※債務承認ほか、時効中断の条件についての詳細はこちらを参照してください。

なので、あなたに消滅時効がかかりそうな案件があるならば、必ず法律・法務の専門家に相談しながら手続きを進めてください。

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【民法が改正される?!】

上記の通り、現行民法下では職業によって期間が異なる消滅時効期間が定められています。
繰り返しになりますが、その結果飲み屋のツケは1年で時効になる訳ですが、実はこの期間が5年に延長されるという動きがあります。

六法全書それが、2015年上期に話題になった民法改正です。
と言っても、法律の改正などと聞くと、「小難しい話題」と耳を傾けなかった人も多いでしょう。

そもそも民法とは、人が集まって社会が形成されたとき、他人に対して権利を持ったり義務を負ったりすることになりますが、その権利や義務の内容について何らかのルールがないと秩序が維持できなくなるため一定の規則を定めた法律です。

言い換えれば、民法は民間人(私人、つまり公権力を持たない人)同士の関係を規定した、いわば生活の基本となるルールが定められている法律なので、その法律が改正されるということは私たちにとって一大事なのです。

改正案では、現代社会に即応しなくなった多くの項目が改正対象になっており、その中の一つが「職業別の短期消滅時効等の廃止」です。
具体的に言うと、上記民法170条から174条までは削除されることになっており、各債権に対する時効期間は原則5年に統一されることになっています。

つまり、現在は1年で時効を迎える飲み屋のツケも、民法改正後には時効期間が5年に改正されるということ。

そもそも現行民法において、なぜ職業によって時効期間が異なっているのか明確な根拠はなく、そういった意味では非常に合理的な改正内容なので、この部分についてはおそらく改正案のまま可決されるでしょう。

その民法改正法案、2015年3月に第189回国会(2015年1月26日~9月27日)へ提出された当初は、そのまま審議・成立して2018年をメドに施行される、と言われていましたが、ご存知の通り安保関連法案の審議が優先されたため、国会での成立は見送られました。

理屈では、国会で審議されなかったということは今後否決される可能性もあるということですが、この民法改正については法務省が数年前から大学教授などの専門家を交えて検討を重ねてきたものであること、さらには現状に即応した法律整備という面を考えても、次回以降の国会へ法案が再提出され、高い確率で可決・成立すると思われます。

改正されれば、1896年の現行民法制定以来120年ぶりということになりますから、法律関係者はもちろん私たちの日常生活の様々な方面に大きな影響を与えることになるでしょう。

追記

2017(平成29)年5月26日、「民法の一部を改正する法律」が参議院で可決・成立し、同年6月2日に公布されました。

改正法の施行日は、原則として、公布日から起算して3年を超えない範囲内における政令で定める日とされています。

そのことから、2020年1月1日または4月1日の施行が予想されます。

 

もし、いま既に、短期の消滅時効に該当する(しそうな)案件をお持ちなら、改正民法が施行される前に、時効の援用手続きを取っておいた方がお得になると思います。
→時効援用の詳細はこちらを参照してください。

借金の時効については、慎重な対応が求められるので、はじめから専門家に依頼することをおすすめします。

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